自伝「オイラとギター」リニューアル 第10章 ブラボー博多!

自伝「オイラとギター」リニューアル 第10章 ブラボー博多!

 

入学式も終わり、親元を離れ本格的に下宿生活が始まった。

実家にいたときみたいに、ギターをひくとき親から

いい加減勉強をしなさいと叱られることもない。

自由なのだ。

いつでも好きなときにギターを弾ける!

そうなのだ!オイラはとうとう自由を手に入れたのだ。

そうだ。この喜びを歌にしよう。「自由」という歌を作ろう。

ソフトケースからギターを取り出した。ソフトケースはどうもいかん。

取り出すたびに糸巻きにカバーがふれてチューニングが狂う。こいつは不便だな。。

やっぱりハードケースがいいのかな。ハードケースも値段が高いよな~。。

25000円のヤマハのギター

10万円以上の高いギターは、外見もやはり高そうに見える。フレットに埋め込まれたメキシコ貝だっけかな?

キラキラ光って実にギターが高価そうに見える。

それに憧れた。鹿児島にいるとき楽器屋でフレットに貼るメキシコ貝のような

シールを買って、それを今貼り付けている。

ふふふ。。こうやってみるとオイラのギターも実に高価に見えてくるものだ。ちょっとした自慢!

しかし1ケ月もしないうちに、そのシールははがれてきてものすご~く貧乏くさく見える!

い、いかん!はがそう!

このままじゃ25000円以下のギターに見えてしまう


またこの下宿からも楽器屋は、比較的近い。歩いていける距離だ。

鹿児島の田舎にいた時は、楽器屋へは異常な距離だったからな。


音叉を探した。

あれ? あれ? 鹿児島から送ったダンボール箱の中に音叉がない?

何度も探したが、音叉がない。どこにもない。

もしかして鹿児島に忘れたか!とんだ失態だ!

下宿には電話がない。電話をかけるときは近所の電話ボックスまでいかなければ

ならない。これはさすがに不便だ。自由と引き替えに手に入れた代償はでかい。

先輩にどこに電話ボックスがあるかを聞いた。

先輩は親切だった。紙を取り出して地図をこまめに書いてくれた。

すごくすごく・・こまめに。。。

すごくすごく・・・詳しく。。。。

すごくすごく。。。おいおいふつうの地図よりも詳しく書くんじゃない!

そんな。。。いいよ。。。交差点の名前なんか。。。。

文字が多すぎて道がつぶれて見えなくなってるじゃないか!

それでも先輩は説明を続ける。。。。

「あのね、ここにも電話ボックスがあるけど (8)のボタンが壊れていて(8)を押しても
 反応しないんだよね。。(8)を使う? 」

「ええ。。(8)は使いますよ」

「じゃあ、ここの電話ボックスは×だな!そうすると。。。。 」

そのとき先輩の部屋に、別な先輩が入ってきた。

「何、してるの?」

「電話ボックスの場所を教えてるんよ」

「ふ~ん」

「あそこの電話ボックスってさ、確か(8)のボタンが使えなかったよな?」

「え?(8)じゃなくて(2)だろ?」

「(2)だっけ?うそぉ~?(8)じゃなかったけ」

「いや(2)のボタンが壊れている。これは確かだよ。最近ウチの部の後輩があそこの
 電話ボックスを使って、ぼやいてたから間違いない!」

「いやいや、(8)だよ。(2)じゃないよ。絶対(8)だよ」

「いやいや(2)だって!絶対(2)だよ。賭ける?」

「おし! 賭けよう!」

「じゃあ、後輩に電話して聞いてくるぜ!500円賭けな!」

「わかった!絶対払えよ!」

と、この先輩は下宿を出て後輩に電話をかけに行った。

「まったく、あいつは仕送り日が近くなると何でも賭けに結びつけるヤツなんだよ」

「あの、さっきの先輩は電話をかけに行ったんですよね?」

「そうそう。。。」

「どこに電話をかけにいったんですか?」

「バス停近くのタバコ屋の公衆電話だぜ!きっと」

「え~!そんな近くに電話あったんですか?」

「そりゃあ~公衆電話はあちこちあるさ!でも君が聞いてきたのは電話ボックスだよね」

このばかたれ!

 

100円玉を10円玉にくずして公衆電話から電話をした。
おふくろが出た。

「もしもし。。おれ、音叉を忘れた」

「オンサ?」

「そうそう。音叉」

「何?オンサって?」

「ほらほら、あのギターをおれが弾いていたとき、たたいてキーンと
 鳴らすアレよ」

「キーン?」

「あの先が二つに分かれていて鉄でできているやつよ」

「鉄?」

おんどれは、まったく探す気がないな!

「金づちの事?」

おい!ひとことも金づちってオレはは言ってないぞ。

電話が切れた。100円あっという間だった。

たとえ1000円使ってもお袋には、理解してもらえそうにない。

よし、買おう。


入学式が終わって2週間。

友達ができない。

大学へ行く。授業がわからん。むずかしい。つまらん。90分授業も長い!

学食へ行く。ものすごく安い。カツカレー170円。うそ?安い!

注文するとカツがペラペラ。なんだ?このカツは?

まわりを見渡す。結構女子が多いな~

高校の時と違って、かわいい子がいるわ!いるわ!わんさかいるわ!

絶対楽しい4年間にしてやる!

だれでも思うことである。


大学の正門から出ると、ものすごい美人OLがニコニコして話しかけてきた。

さっそく、チャンス到来!これは逆なんぱか?

お~!まい!ごっど!

そして

あろうことかこの美人OLの口車にまんまと乗ってしまい英会話教材カセット購入の
契約書にサインした。