自伝「オイラとギター」 リニューアル 第16章 コンピュータ恋人紹介

自伝「オイラとギター」 リニューアル 第16章 コンピュータ恋人紹介




フォークソング愛好会で出会ったヤツの下宿に遊びに行った。

そいつも長渕フアン。長渕のように長髪スタイル。

ギターの腕前は、自分よりも数段上で完全にオイラのギターの先生になっていた。

部屋に入ると積み上げられたカセットテープ。

長渕のオールナイトニッポンの録音だ。

長渕は毎週オールナイトニッポンの番組の中で弾き語りを1曲やっていた。

彼はそれを録音していた。聞かせてもらった。

鹿児島ではこんなにきれいにラジオは聞こえない。雑音ばっかりだった。

そいつは宮崎出身。宮崎ではこんなにきれいにラジオがきこえるのかよ。

隣の県なのになんでこんなにきれいにラジオが入るんだ?

長渕のそのギターテクニックを完全にコピーしていたのだ。

部屋で何曲か弾いてもらった。すげえ。。こいつすげえ。。。

驚きである。どうやって覚えたのか?聞いた

「耳コピー」

何度も何度も聞いて耳で音を覚えたという。

「耳コピー」 すばらしい!オイラには絶対無理だ。こいつは天才だ。
長渕のあんなに早いスリーフィンガーも完全に耳コピーでマスターしているのだ。


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「彼女おる?」

いきなりそいつが聞いてきた。書くのをわすれたがそいつの名前は「大高」

「いや。。いない」

オイラは答えた。大高は続けて聞いてきた。

「もしかして 童貞?」

「まさか・・」 嘘をつきました。

「うそぉ? オレまだ童貞!」 大高は素直にそう言った。

「いつ?いつ?どこで?誰と?」大高はさらに聞いてきた。

いかん。いかん。実はオイラもまだ童貞なのだ。ウソを言ってしまった。

バカにされたらと思いウソを言ってしまったのだ。

「ん?高2の時」

「まじで?同級生? 年下? 年上? 女子大生?にわとり?」

「にわとり?」

「おれの高校ではおったよ。にわとりとやったヤツが何人か!」

「うそぉ!」

「まじで!まじで!」

「大高もにわとりとはやらなかったの?」

「そんなきもちわりぃ!変態だぜ」

だよな~ 
ありえない~

「トルコに行きたいなぁ~ トルコで捨てるかなぁ~ トルコとか行った事ある?」

「・・2~3回」

いかん!いかん! さらにウソを言ってしまった。
いいかげん真実を言わないと引き返せないぞ

「鹿児島ではトルコっていくらぐらいすると?」

やべえ。。。まったく知らない。わからない。。。。。あてずっぽうで

「8000円!」

「そんなに安いとね!鹿児島はいいねえ。なんていう店?」


すまん! もうかんべんしてください。

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考えてみるとオイラには彼女がいない。女子とつきあったことがない。
かと言ってホモではない。

高校の時、ずっと片思いの女子がいたのだが、願いはかなわなかったのだ。

大学近くにコンピュータを使った恋人紹介をしてくれる店があるらしい。

下宿の先輩が教えてくれた。

やっぱり大学に入ったんだから、彼女の一人でもほしいものだ。
誰でもふつう思うものだ。別段不純な考えではない。

いんちきまがいな恋人紹介であろうが、知ったこっちゃない。
とにかく彼女がほしいのである。

大学近くの路地裏の細い道をくぐりぬけたところにお店がある。

勇気を出してお店に入った。
紹介料1000円入り申し込み用紙に記入する。

下宿の住所・名前・年齢・血液型・身長・出身・・・・・・・ん・・・出身?

出身を書くのか。。。出身を書かなければいけないのか!

「鹿児島」と正直に書くわけにはいかない。イモだと思われる。

ここに鹿児島と書いた時点でマイナスポイントになる。

ん~。。。どうしよう。。。。

「福岡」と書くか。。。でも福岡に住んでいて下宿に住んでいるのも変だし、

もし相手が福岡出身だったらすぐばれてしまうな。。

それにどうみてもオイラの顔は濃い。南の方の顔立だ。

思い切って「タイ出身」と書くか。。

んなことは書けるわけないだろう。冗談だ。冗談だ。

しょうがない。ここはまじめに鹿児島と書いておいたほうが無難だ。

必要な項目を全部書き込みお店の人に渡すと、

その紙を見ながらお店の人は無言でコンピュータに向かって入力を始めた。

5分くらいするとコンピュータで印刷された紙をわたされた。

そこには紹介相手の住所・名前・電話番号が書かれていた。
写真はなかった。どういう娘だろう。

でもすごい。これはすごい。最近は便利になったものだ。
もう彼女ができた気分だ。飛び上がりたくなるくらいうれしかった。
どんな人だろう。かわいいのかな?きれいなのかな?

電話番号が書いてある。さっそく電話してみるか。。。
いやいや。。。そんな勇気はない。
いきなり電話もまずいだろう。

下宿にすっとんで帰って机にむかってさっそく手紙を書いた。やっぱりまずは手紙だろう。

便せんに一枚、誠実な言葉を選んで手紙を書いてその日のうちに投函した。


うひひひひひ。。。

ひゃひゃひゃひゃひゃ

こんな簡単に恋人ができる手段があるとは、2~3日して手紙が届いた。
写真が入っていた。

な、なんじゃ!?この女子は! この女子の顔は「は虫類」にそっくりだ。


いやいや人間顔じゃないさ。外見で判断してはならない。もうオイラも高校生じゃないんだし。

そうだ。きっとそうだ。写真写りがちょっと悪いだけだ。

実物はきっと違うさ。 もしかしてわざと写りの悪い写真を送ってきたのかもしれんぞ。


実物はとんでもなくかわいいかもしれない。

とりあえず一回会ってみるか。。 それからどうするか決めてもよかろう。

こっちも手紙に写真入れて、手紙には今度会いましょう!と書き添えた。


そして2~3日して彼女からの手紙が届いた。

手紙にはこう書いてあった。

 「写真ありがとうございます。でもちょっと私の好みのタイプと
違うかなぁ~と思って。
  ごめんなさい。お会いすることができません」




うひひひひひ。。。

ひゃひゃひゃひゃひゃ


何様じゃぁぁあああ!てめぇ!