おべんとう

たまに家内の弁当をつくる。
たいしておいしくもなく上手に巻けない卵焼きを
四角いフライパン?でせっせと作る。
上手に出来たと思って、その卵焼きを包丁で切っても
中は、スカスカで。いつも上手にできない。

お昼時、家内から「おべんとう。ありがとう」の
メールが届く。

そのメールを見ながら、昔の事をよく思い出します。
高校3年間おふくろは毎日弁当つくってくれた。
料理あんまり知らないおふくろの弁当は、友達のカラフルな
うまそうな弁当と比べると、そりゃあ地味でおかずの種類も
1種類~2種類とあんまり見られたくない、見せたくない弁当だったっけ。
女子みたいに弁当のふたを立てて食べてたっけ。

また考えてみたら「べんとう、うまかった!」なんておふくろに
高校3年間一度も言った事なかったな。

ある日弁当半分くらい残して家に帰ったとき、おふくろが弁当箱開いて
「みすぼらしい弁当だった?」と聞いてきた。
おれは何も答えなかった。

そして高校卒業間近の最後の
弁当に3年間弁当ありがとうなんて気のきいた一言も
言わなかったっけ。思えば感謝の「か」の字もなかった。


でもみずぼらしい弁当だったけど間違いなく、それがおふくろの味で
みすぼらしい弁当だったけど、ごはんもおかずもぎゅうぎゅう詰めで
決してひもじい弁当じゃなかった。毎日おなかいっぱいになった。

言ってあげればよかった。

「おいしかった」とか「3年間ありがとう」とか。

簡単な一言なのに、母への思いやりがなかった。