小説「花の大江戸フォーク村ぴのきおらんど物語」その4

小説「花の大江戸フォーク村ぴのきおらんど物語」その1 http://ameblo.jp/pinokioland/entry-11443899082.html

小説「花の大江戸フォーク村ぴのきおらんど物語」その2
http://ameblo.jp/pinokioland/entry-11444571459.html

小説「花の大江戸フォーク村ぴのきおらんど物語」その3
http://ameblo.jp/pinokioland/entry-11444616727.html

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「おい!735番!静かに!」

「うるさいわね!私の名は番号じゃない!おまつと呼びなさい」

その受刑者はスプーンを置き、振り返り看守をにらみつけ怒鳴った。

3年前殺人未遂で逮捕され、執行猶予なしの実刑判決を受け
刑務所に収監された。
日本には全部で8ケ所の女子刑務所があり、ここ栃木刑務所は
日本では最大級の女子刑務所である。また男子刑務所とは違い、割と
のびのびした刑務所生活を送れるという。

「ねえ!ねえ!みゆきちゃん、来週出所ね。長かったわぁ」

まっちゃんは同じテーブルでスープをすすっているみゆきにささやいた。

この二人3年前に警察官から銃を強奪して、老人と警官をその銃で
発砲して瀕死の重傷をさせ現行犯逮捕された。そしてここ栃木刑務所に
服役してもう3年を迎えようとしていた。

「まっちゃん、ひどいよ。わたしは何もしてないじゃない。」

「なにを今更きれい事を言ってるの?」

看守がまたけたたましく叫ぶ

「そこの736番も静かに食べなさい!」

まっちゃんは、不敵な笑みを浮かべてみゆきにこう言った。

「みゆきちゃん、脱走するわよ。。。」

「えっ??? 来週出所するのよ。なんで?」

「それがおもしろいんじゃない!この日を狙っていたのよ」

「あ、ありえない・・そんな・・・」

「みゆきちゃん、飲めないの? 私の提案?」

「無理矢理脱獄しなくても、来週には馬場に出られるのよ」

「馬場? シャバでしょ」

「・・・・・・・・」

つづく。。。