鴬谷のカラス

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休みの昼間、近所の一軒家にお届け物を。
門扉のところにあるチャイムを鳴らした。
誰も出る気配なし。
念のためにもう1回鳴らした。
やっぱり出る気配なし。
引き上げようとしたとき、
庭の向こうから「い、いま行きます。。」
とおばあさんの声。

なんだ。いるじゃん。
おばあさんの姿が庭の植木越しに見えた瞬間、
おばあさんの姿が消えた。

????

「だ、だれか。。。」
おばあさんの声が聞こえて私もあわてて門扉をあけて中へ。

おばあさんは座り込み、額から出血。
手で押さえている。

「こ、ここでころんで。。。」

手をどけて額の傷口を見せてもらったらバックリと割れて
頭蓋骨が見えている。

やべぇ!
やべぇぞ!

「おばあちゃん、救急車今呼ぶから。。。」

スマホで電話。

「すみません。。救急車1台お願いします。住所は。。。。」

電話の向こうから

「あのぅ。。。こちら110番ですが」

くそぉ!あわてて間違えた。

110番も119番も電話するのは人生初めてだ。

約15分で救急車到着。緊急手当てしている光景を見ていたら、ふと田舎のおふくろを
思い出した。都会では何かあったら近所の人とかいるからまだ大丈夫だけど
田舎はそうはいかない。まだ親父と二人だからなんとかなっているけど。。。


そして。。。

仕事を終え帰宅したのが20時。玄関の鍵を開けるとチェーンロック。
「みゆき、開けて」と
言う。10秒たっても30秒たっても出てこない。
寝てるのか?大きめの声でもう1回。
「みゆき、開けて!」シーン。
チャイムを鳴らす。何度も鳴らす。シーン。
スマホでみゆきのスマホへ電話。
自宅の固定電話にも電話。
10分経った。
おかしい。
チェーンロックのかかったドアをガタガタさせて今度は大きめの声で叫んだ。
「みゆきぃ!」
このとき思った。やばい。
もしかしたら部屋の中でみゆきは心筋梗塞とか脳梗塞とかで倒れているに違いない。

スマホで鍵をあけてくれる会社を検索して電話。
「チェーンロックがかかっているのですが、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。これから30分から1時間の間に到着しますのでお待ちください」

1時間?長ぇよ。

電話を切った。ちぇ~んろっくで半ドア状態のすきまから大声で叫ぶ。

「みゆき!どうしたんだよ!みゆき」

玄関のチャイム鳴らし続ける。不安で心臓がばくばくしてきた。

この時確信。室内で倒れている。もしかしたら死んでいるかもしれない。
なんてこったよ。ついさっきフェイスブックメッセンジャーでやりとりしたばっかりじゃないか。

最悪の場合だったら。。

カギ屋が来て部屋に入って倒れていたら。。。
まず救急車だ。
今度は間違えない。


もうこうして玄関の前で40分過ぎた。

救急車呼んで
みゆきの実家に電話して
オレの実家に電話して。。

なんてことだ。
結婚してまだ3年ちょっとだぞ。。。