自作「TARO」(1)

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昔。。昔。。。昔の話。。
山奥の小さくのどかな村でおじいさんとおばあさんは仲良く暮らしておった。
昼はおじいさんは芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に。。
けれど真実はそうではない。
実はおじいさんは昼間芝刈りになど行ってなかった。あろうことかさらに山奥にある
村の若い娘に入れ込んでいて毎日のように通っていた。
川に洗濯にとぼとぼと歩いていくおばあさんの後ろ姿をみて
罪の意識はあった。「すまんのう。。。ばあさん。。」
でもおばあさんが見えなくなると
表情が一変。
「今日もリカちゃんとウシシシ。。。。イヒヒヒヒ。。。」
このじいさんのエロさは全く衰えていなかったのだ。。
足取り軽くスキップで山道を登っていくおじいさん。

すると山道を降りてくる若い娘。
よく見るとリカちゃんと同じ村に住んでいるこれもまた若いみどりちゃん。
実は1年前までこのじいさんと付き合っていた。

「み、みどりちゃん。。どうしたぁ?こんな山奥で」
「源ちゃん、またりかちゃんに会いにいくの?」

源ちゃんとはじいさんの名前である。正式には源之助という名前

「なんじゃ?なんじゃ?またワシとヨリをもどしたいのか?」

「まさか。。それよりね。驚かないで聞いてね。。
源ちゃんと別れた時あたし妊娠していたみたい。間違えなく源ちゃんの子よ。あたしね。。
産んじゃったのよ。源ちゃんの子。びっくりしないで。産んでびっくり。三つ子だったのよ。
男の子3人。かわいい赤ちゃんだったわぁ。。源ちゃんそっくりで!」

「な、何を言ってるのか。。ワシにはさっぱりわからんぞ。。」

「でも私、育てられそうもないから手放すことにしたの。。さっきね。。大きい桃3つに赤ちゃんを
入れて川に流したの。。親切な人に拾われて大切に育ててほしい。そんな願いをこめてね」

「ちょ!ちょ!ちょ! か、か、か、か、川に流したぁぁぁぁあああ?」

下流でばあさんが洗濯をしているぞ。なんてこった。まずい展開だぁ。。
かなりまずいぞ。。

「わ、わしゃ!帰る!みどりちゃんも村に帰ったらりかちゃんに今日は来れないって
言っておいてくれ」

じいさんは来た道を急いで引き返した。引き返すときの足の重い事。

息を切らして家にたどり着き、じいさんはわが目を疑った。

ニコニコとほほ笑むばあさんの横には大きい桃が3つ並んでいた。

あ、ありえん。。。おじいさんは右手で顔面を押さえた。


もうここまでくればおわかりだろう。。

3つの桃の中にはそれぞれ赤ちゃんだ。

後の桃太郎、浦島太郎、金太郎のそれぞれの物語の主役を張った3人である。

続く。。