鬼16

二人が村に着いた時には、日はどっぷり暮れていた。

ぼろいほったて小屋の入り口の前で、浦島太郎は桃太郎に言った。

「布団はひとつじゃよ! へんな事をしなければここに泊めてもいいぞ」

こんな薄汚い小屋で誰が、安心して寝るれか?桃太郎は断った。

こんなきれいな月夜。地べたに大の字になって寝るさ。

小屋の近くの井戸の前に腰をおろした。

腹減ったなぁ・・・あっ!そうだ。まだきびだんごが残っていた。

しならくして、浦島太郎の小屋から、何やらうまそうな匂いが。

ま、まさか!? 桃太郎は立ち上がり、周りを見渡した。

家来のキジがいない!

「う、浦島太郎め! ぶっころしてやる」