心をこめて。

f:id:pinokio19621004:20140707085554j:plain


髪の毛も真っ白になって

顔もしわがいっぱいで

腰も曲がって

おれの「かあちゃん」はいつから「ばあちゃん」になったのかな。

おれの「かあちゃん」はいつからこんなに「ばあちゃん」になったのかな。


神社の石段を一段ずつゆっくりと。。

こけの生えた石段をゆっくりと。。。。

手を差し伸べると「大丈夫だから。。」と。

賽銭箱の向こうに手を合わせるかあちゃん。

何を願った? 何を祈った?

俺たち子供の事? 孫の事?

かあちゃんは首を横に振って

「世界がいつまでも平和でありますように」

笑ってそう答えた。

すげえな。。かあちゃんは。

俺も笑った。

世界平和だけにしては手を合わせている時間が長いぞと。



そして賽銭箱に小銭を投げ入れる時ふと思った。

おれは賽銭箱の向こうの神様に手を合わせる前に

やっぱりこのかあちゃんの背中に手を合わせなければいけないんだなって。

命がけでおれを産んで育ててくれたこの人こそおれの神様なんじゃないか?

大切な大切な神様はここにいるかあちゃんじゃねえかってこと。

バカだからそんなことに気づくのに何十年もかかった。


そのかあちゃんをいつか見送る時がくる。

生きているうちに「ありがとう」を伝えなければといろんな人が教えてくれる。

わかっているよ。わかっているよ。

でもさ。

「ありがとう」って伝えたら見送る日が早くなりそうな気がしてさ。


でも、でも今度会ったら、心を込めて言おう。

生きているうちに。元気なうちに。かあちゃんを抱きしめてあげよう。