自作「TARO」(2)
「おじいさん!おじいさん!ちょっと聞いておくれ」
おばあさんは、興奮冷めやらない様子で言った。
「川に洗濯に行ったらなんとびっくり!たまげた!大きい桃が
どんぶらこ!どんぶらこ!と流れてきたんじゃよ。。それも1個じゃなくて
3個じゃよ!あたしゃね。びっくらこいて川に飛び込んで。。。
桃3個を拾い上げたんじゃよ。その時にうっかりして洗っていたじいさんの
ふんどしを川に流してしもうた。。。おじいさん、す、すまねえ。。
すまねえことをした。。」
「ええよ。。ふんどしの1枚くらい。。それより。。。」
「おじいさん。。そのふんどしはじいさんの名前入りじゃよ。去年あたしが
おじいさんの誕生日に、あたしがじいさんの名前を刺繍で入れたあのふんどしじゃ」
「な、なんですとぉぉぉぉおおおおお?」
じいさんは頭の中で考えた。
もし下流の村の誰かに拾われようものなら大変なことになる。
村中の笑いもんじゃ。そうなったら下流の村に買い出しにもいけなくなる。
なんてこった!なんてこった!
もう、ばあさんも桃なんかどうでもええのに。。。
よりによってふんどしを。。オラのふんどしを。。。
床の間にはでかい桃が3つ並んでいる。
その桃の前で頭を抱えているじいさん。。。。
続く