リニューアル「オイラとギター」その6

第6章 学園祭出場

前章の長渕登場は、もうちょっと後だったような気がするなぁ。
ちょっと記憶があいまいだ。
長渕を知る前の出来事。ちょいさかのぼる。
まだまだアリスを中心にギターを弾いてた頃かな~
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ついに人前で弾けるチャンスが巡ってきた。
ギター始めて1年半。ついにその成果を人前で披露する場が。
高校2年の秋。学園祭。全校生徒が集まる体育館のステージで
弾き語りをやる機会がやってきた。
思えば中3の時、おれは客席でそれを見ていた。
ふふふ・・・あれから2年か。
今度は、おれがステージに立ち、みんなの注目を浴びるのだ。
しかし出場枠が決まっていて、学園祭のステージでやるには
予選を通過しなければいけない。

軽いぜ!
軽く予選通過するぜ!

「するぜ!」はちょっと雰囲気でないな。鹿児島の話だから
「するでごわすよ!」かな。

「軽く予選通過するでごわすよ!」

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100%の自信を持って予選へ。
体育館のステージの上で。審査員は上級生の学園祭実行委員5~6人。
アリスの「涙の誓い」を歌ったのかな? 違ったかな~
結果、見事に落選。
上級生の女子の審査員から「歌がちょっと・・・・」と言われた。
歌がへただったらしい。これは絶対オレを落とすための陰謀が
裏で。。。と考える事にして落選のショックを自分で和らげた。
でもショックだったなぁ~

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そして1年後、高校3年の学園祭。
これがラストチャンス。この1年間結構努力した。がんばった。
今年こそ予選突破で!
予選はなかった。出場枠に数が足りなかったので申し込み全員が
出場することに。

今回は同じクラスのやつとバンドを組んだ。
3~4曲やったのかな。でも全部そいつのオリジナル。
1曲だけオレが歌う事に。

実はおれもこっそり歌を作っていた。

 「街はずれにある小さな湖・・・・・」
まるで物語の始まりを感じさせるようなこの一文。
きれいな一文じゃありませんか~

でも実際は

 「村はすれにある小さなため池・・・・」

これが事実を正確に歌にした一文。これじゃ歌にならない。

まあそんな事はいいや。

学生服じゃなくてちゃんと衣装に着替えて。

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ギターのフレット間にメキシコ貝に似せて
キラキラ光るシールを貼った。
これで高いギターに見える。
いや、シールを貼ったらギターそのものが安っぽく見えた。


3曲目かな4曲目が自分の歌う曲で。
イントロが終わり、歌い始めるとなんとボーカルが聞こえない。
マイクにはスイッチがないため、その先のミキサー?
結局、最後までオレのボーカルは体育館に響くことは
なく演奏のみが、体育館内に響いた。
まぬけな結果に終わった。
情けない結果に終わった。
陰謀である。陰謀に違いない。そう思うことにした。

また別に堂園兄弟で飛び入りをやらせてくれと事前に
学園祭実行委員に申し出ていた。
オレは3年生。弟は1年生。
弟もギターを始めていた。弟の部屋から長渕の曲を歌う声が。
う、うまい。。。
というか長渕の声に似ているぞ。
かなり似ている。でもギターはまだまだだ。一日の長がオレにはある。
でもみんなにこの歌声は、聞いてほしいな。
そこで学園祭実行委員にお願いした。快諾である。


当時石を投げれば長渕ファンにあたってしまうほど
私はコントロールがよかった。いや違う。
それほど我が高校には長渕ファンが多かった。
絶対うけるぞ。これは。

アルバムの中でも「素顔」という歌は女子生徒の心を深くつかんでいた。

よし!これをやろう!
ギターもイントロ・間奏・エンディングばっちしオレは弾けるぞ。
全校生徒の中で、オレほどうまく「素顔」を弾きこなせるやつはいない。
いかん。。。またうぬぼれが
全校生徒よ!ちゃんと聞けよ。オレのギター。
一回うぬぼれると止まらないのは悪い癖であり欠点である。


そして当日
ステージの上はまぶしすぎるスポットライトのおかげで
前列を陣取っている人相の悪いヤツらしか見えない。
おい、おまえらどけよ。女子と最前列を変わりなよ。


ざわめいている体育館が多少気になったが。
司会が、「え~続いて飛び入りです。堂園兄弟に1曲やってもらいます」

ステージへ弟と二人で。
弟は緊張はしない。ものおうじはしない。

マイクの前に立つ弟。
その横で、ギター片手にイスに座り、譜面代に譜面を置いた。
大丈夫だ。おれも緊張していない。

今度は、マイクで生でギターの音を拾う。

紹介が終わり、一応拍手をもらい。その拍手が終わるくらいの絶妙のタイミングで
イントロを弾き始めた。驚け!このスリーフィンガーを!

ん?あれ?ギターの音が聞こえないぞ。
マイクがギターの音を拾ってくれてない。
マイクまでの距離がありすぎるのか?

ちょっと前かがみになりギターのホールをマイクに近づけた。
ちょっとだけ音を拾ってくれた。

まだまだイントロを終われないぞ。もうちょっとマイクに
近づかなければ・・・でもこれ以上前かがみになったら
ゴロンと前まわりしてしまう危険がある。もしそうなったら実に
マヌケだぞ。

そうこうしているうちに弟は勝手に歌い始めた。
おい?
おい?

「夜の顔を~」

イントロの時まではざわざわしていた会場が、その歌い始めのフレーズで
大拍手に変わった。

マイクでギターの音を拾いきれないまま
1番が終わり、間奏に入ると その大拍手はさらにふくれあがった。

すげえ。こんなに拍手もらえるのか。弟の歌声は。

でも、おい!オレが間奏弾いてるだろが、ただでさえマイクでギターの
音拾わないのだから、もうちょっと静かに、静かに、聞いてくれよ。
間奏はオレの見せ場なんだからさ。

大拍手!!

本意ではなかった

そりゃそうだ。
練習してきた間奏が拍手にかき消されたのだ。
ただでさえマイクの拾いがわるい私のギターの音は
完全に拍手にかき消された。弾いている私にも聞こえなかった。

さっきは出演の時はオレのボーカルはマイクに声が入らず
今回はギターの音をマイクが拾ってくれない。

大拍手の中、オレの青春の1ページは終わった。散った。

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学園祭が終わった次の日、生物の先生から
「おまえの弟、歌すごくうまかったぞ。でもおまえのギター全く聞こえなかった」

また次の日から、同級生の女子から
「弟さんの歌、よかった。とっても感動した。もう1回聞きたいからカセットテープ
に録音してきて」
と言われカセットテープを渡された。
その次の日も次の日も、いろんな女子からカセットテープを渡された。
中には、メモに何曲かリクエストを書いてあった。

オレの青春の2ページは終わった。

それから2年後、弟は学園祭で長渕の弾き語りをして

体育館の女子をかったっぱしから撃沈させていったと言う。

その時の音源がこれである。
www.youtube.com
弟ギター歴3年