リニューアル「オイラとギター」その16

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見たこともないようなでっかい婚礼家具。
団地のせまい階段を家具屋の親父と二人で運ぶ。

その家具屋の親父が上。私が下。

重い。重いってもんじゃない。腕がちぎれそうだ。ここで家具屋の親父が手を離したら
階段からたんすごともんどりうって、下に転げ落ち間違いなく圧死である。

こんなに重いもの持ったことがない。

死んでしまう。。

家具屋の親父が言う。

「おい、階段の壁にぶつけるなよ。ころすぞ!」

遠のく意識。。。

団地の階段ってなんでこんなに狭いんだ。

腰も痛くなってきた。たんすってこんなに重いものだったのか。。。

軍手がすべりそうになった。

「ちょ、ちょっと待ってください」叫ぶ。

一時的にひざで支えた。

ちょっぴり楽だ。

「おい!なにやってんだ!早くしろ!」家具屋の親父が叫ぶ。

「午後も2件あるからな。早くしろよ。午後の2件はこれより重いぞ!」

うそぉ?

クレーンを使えよ!ちきしょう!



地獄のような一日だった。
しわくちゃの1000円札を5枚渡されて福岡発のバイトが終わった。




フォークソング愛好会で出会ったヤツの下宿に遊びに行った。

完全にオイラのギターの先生になっていた。

積み上げられたカセットテープ。長渕のオールナイトニッポンの録音だ。聞かせてもらった。

鹿児島ではこんなにきれいにラジオは聞こえない。雑音ばっかりだった。

そいつは宮崎出身。宮崎ではこんなにきれいにラジオがきこえるのかよ。

長渕剛は毎週、ギターの弾き語りをその番組の中でやっていた。

そのギターテクニックを完全にコピーしていたのだ。驚きである。どうやって覚えたのか?聞いた

耳コピー」

何度も何度も聞いて耳で音を覚えたという。

耳コピー」 すばらしい!オイラには絶対無理だ。こいつは天才だ。
長渕のあんなに早いスリーフィンガーも完全に耳コピーでマスターしている。


「彼女おる?」

いきなりそいつが聞いてきた。書くのをわすれたがそいつの名前は「大高」

「いや。。いない」

オイラは答えた。大高は続けて聞いてきた。

「もしかして 童貞?」

「まさか・・」

「うそぉ? オレまだ童貞!」 大高は言った。

「いつ?いつ?」大高はさらに聞いてきた。

いかん。いかん。実はオイラもまだ童貞なのだ。ウソを言ってしまった。
バカにされたらと思いウソを言ってしまったのだ。

「ん?高2の時」

「まじで?同級生? 年下? 年上? 女子大生?にわとり?」

「にわとり?」

「おれの高校ではおったよ。にわとりとやったヤツが何人か!」

「うそぉ!」

「まじで!まじで!」

「大高もにわとりとはやらなかったの?」

「そんなきもちわりぃ!変態だぜ」

だよな~ 
ありえない~

「トルコに行きたいなぁ~ トルコで捨てるかなぁ~ トルコとか行った事ある?」

「・・2~3回」

いかん!いかん! さらにウソを言ってしまった。いいかげん真実を言わないと引き返せないぞ

「鹿児島ではトルコっていくらぐらいすると?」

やべえ。。。まったく知らない。わからない。。。。。あてずっぽうで

「8000円!」

「そんなに安いとね!鹿児島はいいねえ。なんていう店?」


すまん!