リニューアル「オイラとギター」その1

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第1章 出会い


かれこれもう39年くらい前の事。15歳の頃。
はるか昔の頃。

中学校の学園祭で、3人の同級生が体育館のステージでギターを
片手にフォークソングなるものを歌った。
3人の同級生はそれぞれ松山千春を歌ったりかぐや姫を歌ったり井上陽水を歌ったり。
丸坊主のにきび面の奴らが、ステージでギター片手に歌を歌っているのだ。
3人とも親しい友達だったが、ギターが弾けるなんて全く知らなかった。

おもろくないぞ。

丸坊主のくせに。。



もちろんオイラも丸坊主だったが、それが校則だったから仕方がない。
TVの学園ドラマと違うのだ。都会の中学生とは違うのだ。
我が田舎の中学校男子は坊主が基本。
頭が、いびつな形をしていても無条件に坊主。
10円ハゲがあろうとも坊主。
将来はげる事が予想されてもおかまいなしに坊主。

それに学生カバンは、白カバン。
ど根性ガエルのひろしがもっていた白カバン。
典型的な田舎の中学生。
徒歩で通えないくらい遠い生徒は、自転車通学が認められていた。
でも白いヘルメット着用が義務。坊主にヘルメット。


またみんなみんな坊主だから、誰とてドライヤーは持ってない。
ドライヤーなど坊主に必要ない。もちろんシャンプーも必要ない。
誰もが、石けんで頭を洗っていた。

クラスの誰かが、ドライヤーの役割を確認するために
姉さんのドライヤーを風呂上がりに
ためしに使ってみたところ、頭に大やけどした事故があった。
それが学校中に広まり、すべての男子が殺人兵器のドライヤーを恐れ
逃げ回っていた。


まあそんなことはいいとして
女子中学生たちは、ステージ上の彼らの歌を爛々と目を輝かせ聴き入ってた。
ギターはうまかったのか?歌はうまかったのか?はもう昔のこと。
覚えてはいない。
覚えているのは、学園祭で全校生徒の前でギターを片手に弾き語りして
女子の注目をかっさらった彼らの事。

学園祭以来、音楽室でクラッシックギターをそいつらが弾く。
禁じられた遊び」を奏でる。
遠巻きにうっとりの女子グループ


ギターを覚えれば確実にモテるのか?
女子の注目を浴びることができるのか?


なんということだ。
オレは完全に遅れをとってしまった。


しかしあいつの真っ白いギターはいったい何なんだ?
日曜大行進(TVジョッキー)の景品じゃないのか?


地元の高校に進んだ

当然まだギターを持っていなかった。
近所の先輩からギターを借りた。ヤマハと書いてあった。

ほぉ~ オートバイのメーカーはギターも作っているのか・・・・


とりあえず明星の付録の歌の本を開いた。

芸能情報は、明星とか平凡から得る。
どっちかを見ておかないと、遅れてしまう。

でも何から覚えればいい?


この時期になると、ギターを弾けるヤツがまわりにやたらと増えてきた。
ギターを弾けると、もてるとみんなが気がついたのだ。
いかんぞ。これはいかん。完全に遅れをとっている。

先輩からギターしか借りなかった。三角ピックは貸してもらえなかった。
これは、授業でつかう下敷きの角をはさみで切って、ピックの代わりにつかった。

友達がウチに来て教えてもらったドレミファソラシドの音。
こいつすげえ・・・・

友達に聞いた。
「ところで弦ってさ、バイク屋に売ってる?」
「おまえ、何を言ってるんだ」
「いや、ヤマハってギターに書いてあんじゃん」